神に結界を張られる女_2

さて、それほど神様に嫌われてしまったわたしが次にチャレンジしたのは、厳島神社である。
といっても言いだしっぺは義兄であり、わたしと神様との確執を家族はイマイチ信じていなかった。


ええ、この旅までは。


この時もお天気に問題はなかった。
しかし、問題はわたし自身に起きた。


高熱だ。


なにが原因なのかは分からない。
医者も首をひねる状況での高熱が、出発の二日前から続いていたのだ。

駄菓子菓子。

この旅は宿泊である。
高熱に浮かされているわたしを独り残していくわけにもいかないと判断した家族は、わたしを後部座席で寝かせて連れていくことにしたのである。

晴れわたった休日、車窓からの景色を楽しむこともできない旅。
ふぅふぅと荒い息を吐き続けるわたしを振り返り、姉が呟いた。
「神に結界を張られてるって、こういうことなのねぇ・・・」
「なんの冗談かと思ってたけど、こうして目の当たりにするとびっくりだよね・・・」


びっくりはわたしのほうである。

この旅を持ち出されたとき、わたしは11月を強く希望した。
シルバーウイークで連休が見込めるという理由で全員賛成のうちに日程は決まったが、わたしが11月を推したのには他に理由がある。

11月は神無月だから、である。


神無月。
それは日本中の神様が出雲の国に集合する月。
つまり、出雲以外の神様は、11月のうちはホームを留守にするのである。

安全に行くなら、この月しか考えられなかった。


それなのにである。
それなのに、これほどまでに結界が強力に張られていようとは。


・・・神様、わたしアナタになにかしましたか・・・!


こんな思いをしてまで厳島神社へやってきたわたしに対するトドメは、凶のおみくじであった。

とっとと帰れ

神様の声がどこからともなく聞こえてきたのは、気のせいではあるまいと、いまでも思っているタイタンなのであった。

たいたん堂 ANNEX

日々の気づきと、好きなものと。