あのひとのことはそれほど_1
昨年のことであったろうか。
某SNSに、見知らぬ女性からの友達申請があった。
まったく心当たりがなかったのと、SNS上でのやりとりもなかったため
わたしはその申請をスルーした。
それから2ヶ月後、懐かしい名前からの友達申請が飛び込んできた。
なんと、16年前に別れた元カレからのものだ。
心が揺れなかったといえば嘘になるかもしれないが
わたしはこの申請もスルーし続けた。
いまさら繋がりを持つことの意味がつかめなかったからだ。
そしてさらに1ヶ月後、最初に申請をスルーした女性からメッセージが入ったのだ。
『突然すみません。TSさんを知っていますか?』
TSとは、件の元カレの名前である。
気がついていなかったが、メッセージは言葉と日付を変えて3度届いていた。
迷った挙句、わたしは返信することを決めた。
『滅多にない名前ですので、あなたのおっしゃるTSさんはわたしが存じているTSさんだと思います』
リプライはすぐにあった。
『タイタンさんは、TSさんの元カノさんですよね?』
『失礼ですが、どのようなご用件でしょうか』
『あ、すみません。わたしはTSの妻だったのです。2年前に彼が亡くなるまでは』
転勤族の元カレからは、つきあって間もない頃にプロポーズされたものの、わたし側の事情で受けることができず、長い遠距離恋愛に突入した。
つきあいも10年が経った頃、当時アナログだった電話回線が混線したことをきっかけに、彼の周辺に女性の影が見えはじめた。
その頃もわたしは結婚できる状況になかったため、彼が別れを決めるのであればそれを受け入れる心づもりで、彼がそれを言い出す機会を待っていた。
だが結局、彼からハッキリとした別れの言葉を聞くことはできず(他にもいくつかの問題はあったが)フェイドアウトしたというのが簡単な流れだ。
メッセージ欄で言葉を交わして分かった彼女の「会話の目的」は、このようなことだった。
●結婚前の彼の姿を知りたい。
●彼の親族には最初から嫌われていて、いまも遺産についてトラブルを抱えている。
●できれば同じ男女関係だった人と彼のことを語り合いたい。
●自分が浮気相手だったのか、真実が知りたい。
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